全国消費者協会 Consumer`s Association of Japan
設立の趣旨
消費者団体には、政治色あるいはイデオロギーの強い団体が多くあります。
イデオロギー色を強くもち、支持者を増やすために政治的手段として消費者運動を利用する団体もあります。また、公害問題を増幅させる商品を製造している企業がスポンサーとなって設立された紐付き偽消費者団体もあります。
私たちは、イデオロギーに拘らず、特定の企業に左右されることなく、消費者運動を手段として利用するのではなく、企業と対立することもなく、純粋に消費者問題、環境問題を人類最大の課題として考え行動いたします。
「消費者主権の確立」が叫ばれて久しくなりますが、今までの消費者運動は、消費者の権利主張の闘いの歴史でした。「消費者の義務の自覚」と「義務の履行」は遅れて棚上げにされてきました。しかし、いわゆる「消費者の権利」を主張することは、同時に伴う「義務の履行」が存在すると考えます。
生活消費物を使用した後のゴミ処理等を通じて、いかに地球を汚さず「環境の保全」に努めるかも消費者の義務の一つだと思います。企業に対して環境に害の無い商品の製造販売を求めることも消費者の権利ですが、環境を汚す商品を買わないことも消費者の義務と考えております。
さらに、進んで、優良企業が増え、優良商品、安全商品が増えることは消費者の願いですが、その優良企業、安全商品を支援することも大切な消費者の義務の一つと考えます。
その他にも沢山の消費者の義務があります。しかし権利のみが先行して義務はあまり考えられなかった消費者運動の歴史があります。
欧米では、既に「消費者の義務」が叫ばれていますが、某消費者団体の代表は、「欧米は消費者主権が確立したから消費者義務が叫ばれている。」と説明します。しかし、消費者主権の確立はこれからも難しく、欧米においても真の消費者主権が確立さているとは言い難いと考えます。消費者は、消費者の権利を放棄することもできますが、義務は放棄できません。私たちは、放棄のできない「消費者の義務」の履行こそ大切と考えています。
「地球環境の保全」や「食の安全」は消費者の権利ではなく、消費者の義務と考えております。
また、企業が消費者に、良い商品、良い役務を提供することは、善良な企業と消費者の共通の願いであると考えます。本来、企業と消費者は対立構造にあるのではなく、共通の目的と願いをもった存在であると信じます。
私たちは、イデオロギーに拘ることなく、紐付きでない消費者団体の設立の必要性を認識し、
消費者運動を通じて「地球環境の保全」と「食の安全」の推進のために、ここに全国消費者協会を設立致します。
「できることから一つずつ」を合言葉に活動展開をしたいと考えています。
1986年2月1日
(2010年3月25日一部追加修正)
全国消費者協会
※ホームページの転写、流用をお断わりします。